■ 移住者の声
炭焼き職人
那須さんご一家
鳥を飼い炭を焼き、自然と暮らす
鶏と炭ができる土地へ
―引っ越しされて今で何年ですか?
謙三:もう六年ですね。世間では震災があって、こちらでは大水害があったその直後に引っ越してきました。
―どのようなきっかけで来られたんで すか?
謙三:もともと大阪で焼き鳥屋を親と 経営していたんですが、ずっと田舎で 実際に鶏を飼いたいという話をしていて。そうしたら親が先に古座川を見つけたんです。
―親御さんが先に!
謙三:そうなんです。それで親が先に 移住して、僕も何度か来るうちにきれいなところやなぁ、と思って移住しました。鶏を飼って炭を焼くという、焼鳥の原点みたいなところを勉強したいというのがあって。簡単には大阪に行けないのでつい仕事に行ってしまうことがないので、距離的にもこれくらいがちょうど良いですね。
田舎で子供を育てること
―お二人は子どもを三人育てられていますが、田舎での子育てはいかがですか?
謙三:初めは田舎に来ればどうこう、といろいろと考えていましたが、実際は子ども個人の性格の問題だと思うようになりましたね。文:そうね。うちの場合は、長女が三歳のときに移住してきたので、ほとんど三人とも古座川生まれ古座川育ちみたいな感じです。もともと長女はちょっと引っ込み思案で、あまり自然の中で堂々と遊ぶとかができなくて、だから田舎に行けばもう少しのびのびとできるかな、と思ったんです。
―実際いかがですか?
文:少しずつだけど、誘われれば川でも遊ぶし、活発になってきたなあと思ってます。都会だと、とにかく親も子育てで必死で、車通りも多いから窮屈やろなと思って。小さい頃にこっちに来て良かったなぁ、ってのはあります。
―古座川町の教育環境に不安とかはないですか?
文:特に今のところは......。保育所は人が少ないので待機児童などの問題はまるで無かったですし、小学校も気に入っています。ただ、次女が来年で小学年生なんですけど、この子の次の学年は子どもがいないんですよ。その次はまた一人いて、という感じなんですけど、もっと同級生がいる環境で育ててあげたいな、と思うことはあります。でも逆に山奥だからこそ子どもたちが本当に純粋に育っていて、それはそれで魅力だと思います。せっかくそういう環境があるのだから、大切にしたいと思っています。
―住んでいて不便なことがあれば教えてください。
文:正直、住んでいてあまり不便さを感じたことがありません。ちょっとスーパーまで遠いですけど、それもまた小旅行だと思って楽しめますし、日用品も最寄りの街でほとんどが揃います。それに、今ではネットでなんでも届くので、街で売ってないものとかはそちらで買いますね。ただ、もう住んで六年になりますけど、地元の人たちが行くような市場とかって移住者の自分たちにはちょっと敷居が高い気がして、まだ行けてないんです。
移住するときは柔軟に
—来る前とのイメージのギャップとかはありましたか?
謙三:僕は田舎に来るときに、犬は放し飼いで飼えると思ってたんですけど、そんなことはなかったですね(笑)。ホームステイみたいなのができればええんかなと思います。地元のことも教えてもらえるやろうし、アドバイスをしてくれるような人が身近にいるのが一番心強いですね。
文:うちの場合はお父さんお母さんもいたし、子どもを保育所に入れたりしたから、周りのお母さんにこんなお店があるとかも教えてもらいました。でもなにはともあれ、子どもを連れてきてくれたら、お友達になりましょう、って思っています。生まれたばかりの人も、これから生まれる人も、移住して子育てしている人も結構いるから、紹介できますよ!
―最後に、これから移住される方にアドバイスをお願いします。
謙三:まぁ、あまり気をつけなければいけないことはないとは思うんですけど、なんだかんだいって、やっぱり仕 事は大事ですね。僕の場合はまだなんとかなってますけど、やっぱり田舎は職業の選択肢が少ないから......。その中で自分が合えば良いんでしょうけど、合わなくて転々としている人もい ますし、ある程度の順応性が必要なんかなと思います。